39県の緊急事態宣言解除を諮問 愛媛「条件付き解除」
政府は14日、新型コロナウイルス対応の特別措置法に基づく緊急事態宣言について、感染拡大に一定の歯止めがかかっている39県の解除を同法に基づく諮問委員会に諮問し、承認された。ただ、愛媛県については新たに集団感染が起きたとして「条件付き解除」とする。政府は諮問委の見解を踏まえ、同日夜の対策本部で解除を正式に決める。
新型コロナ対応を担当する西村康稔経済再生相は諮問委の冒頭、39県は「解除が妥当と判断されるのではないかと考えている」と述べ、見解を求めた。39県は、重点的に対策を講じるとして指定した13の「特定警戒都道府県」のうち、茨城、石川、岐阜、愛知、福岡の5県と特定警戒以外の34県。
同日午後0時半すぎ、西村氏が記者団の取材に「諮問案どおり承認された」と答えた。医療機関で20人程度の集団感染が明らかになったという愛媛県は諮問委で議論され、感染経路を徹底調査し、国に報告する「条件付き解除」(西村氏)で承認されたという。
諮問委に先立って開かれた政府の専門家会議では、加藤勝信厚生労働相が「緊急事態の解除の考え方や解除された地域の感染対策のあり方、加えて保健所の体制強化、医療提供体制の確保などを議論いただきたい」とあいさつ。西村氏は社会経済活動を段階的に再開していくための指針を、81の業界団体が14日中に公表することを明らかにした。
関係者によると、専門家会議では、一部解除後も感染状況などのリスクに応じた対応が必要だとして、都道府県を3区分する考えが示された。現行の「特定警戒」に加え、「感染拡大注意」「感染観察」を加える。
「感染拡大注意」は特定警戒の半分程度の新規感染者数などで該当するかを判断する方向で、都道府県境をまたぐ不要不急の移動や、いわゆる3密を避けることなどを求める。イベントも知事が自粛を求めるとしている。
「感染観察」は新規感染者が一定程度いても「感染拡大注意」の基準には達していない場合で、比較的小規模なイベントの開催も可能との考えを示した。「感染拡大注意」と「感染観察」は各地の知事が判断するという。
政府は14日午後、諮問委の見解を受けて決めた事項を西村氏が国会で報告する。その後、安倍晋三首相が記者会見し、解除を判断した理由などを説明する。対策本部での正式決定は会見後となる予定だ。
解除の根拠は、直近2週間で新規感染者数が減少傾向にあり、「直近1週間の新規感染者数が人口10万人あたり0・5人以下」などとするものの、必達の基準とはせず、医療提供体制に余裕があるかやPCR検査の拡充など各地域の状況を総合的に判断する方向だ。
再び感染が急拡大する兆しがみられる場合は、改めて緊急事態を宣言する考え。ただ、具体的な数値基準は示さず、直近の新規感染者数や、感染経路不明者の割合などをもとに判断する方向で調整中だ。
政府はまた、39県で宣言解除しても、大規模なイベントの開催や接客を伴う飲食店の利用、宣言が継続する8都道府県との不要不急の往来の自粛は引き続き求める。
解除が諮問されなかった北海道、東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、京都、兵庫の8都道府県は引き続き、5月31日までとしている宣言を維持する。千葉や京都は感染者数は減っているが、仕事や生活で東京、大阪とのつながりが強く、人の移動が多いと判断した。
リンク:https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200514-00000025-asahi-soci
[単語]
1.歯止め(はどめ):事態の進行を抑えとどめる働きをするもの。
2.踏まえる(ふまえる):判断のよりどころにする。根拠とする。
3.妥当(だとう):実情によくあてはまっていること。適切であること。
4.諮問(しもん):有識者または一定機関に、意見を求めること
5.3密(さんみつ): 感染症の蔓延を防ぐために、人々が避けるべき3つの行動。換気の悪い密閉空間に居ること・多くの人が密集する場所に居ること・近距離での密接した会話をすること。令和2年(2020)、COVID-19流行の際に東京都が提唱した。